- 「新版歌祭文」しんぱんうたざいもん
- 大阪にほど近い野崎村の百姓久作の娘お光は、恋慕う久松と夫婦になれるとあって心浮き立っています。そこへやって来たのは、久松が大阪で丁稚奉公しているときに、深い仲となってしまった主屋の娘お染。お光は、恋敵に嫉妬し、久作はお染と久松に意見をしますが、二人はすでに死ぬ覚悟を決めている様子。やがてすべてを悟ったお光は、自ら尼となって、恋しい久松を諦めようとします。そこへお染の母が訪ねてきて、お染は船に、久松は駕籠に乗り、二人は再び大阪へと戻っていくのでした・・・・。
江戸時代に大阪で実際に起こったお染久松の心中事件を題材とした物語です。自分の身を犠牲にてお染に恋を譲る、清純無垢なお光という少女を主人公に、お染久松の若い一途な恋情をはじめ、周囲の大人たちも人間味豊かに描かれています。
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- 「藤娘」ふじむすめ
- 藤の枝をかついだ一人の娘が黒の塗り笠をかぶって現れます。乙女の切ない胸の内を近江八景になぞらえたり、「藤音頭」にのせて、娘のなまめかしい酔態を見せたり、艶やかに可憐に踊ります。やがて夕暮れにが迫ると、娘は何処へともなく姿を消してしまうのでした・・・。
暗いまま幕が開き、置唄が終わるとパッと舞台が明るくなる演出が印象的です。この娘は藤の精なのですが、大津絵(戯画)にある「藤かつぎ娘」をいう画題に因んで、そこから抜け出したような美しい姿をしています。歌舞伎舞踊の代表的な作品の一つです。
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- 「戻駕色相肩」もどりかごいろにあいかた
- 菜の花畑に桜咲く春霞の街道に、吾妻の与四郎と浪花の次郎作の担ぐ駕籠がやって来ます。乗っているのは、禿のたより。次郎作は大阪新町、与四郎は江戸吉原、たよりは京の島原と、それぞれ三都の廓の有様を語ります。やがて二人は、連判状と千鳥の香炉を落とし、次郎作は盗賊の石川五右衛門、与四郎は真柴久吉とわかります。争う二人の中に、たよりが止めに割ってはいるのでした・・・。
与四郎は白塗りの二枚目、次郎作は赤っ面と対照的で、駕籠を担いだ登場の場面には、まるで一枚の錦のような風情があります。俳優の色気と個性、そしておおどかな雰囲気が魅力的な常磐津の舞踊劇です。
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